ターゲット到達、ビューアビリティ、無効なトラフィック:グローバルキャンペーン・ベンチマーク
世界の多くの市場で、キャンペーン効果の検証への注目が高まっています。広告主を中心に業界全体が、広告がブランドにとって安全な環境で、不正なくインビューで適切なオーディエンスに配信されているか把握することを、重視しつつあるからです。
業界全体がキャンペーン配信への理解を深められるよう、コムスコアはvalidated Campaign Essentials(vCE)ソリューションを通じて世界各地で測定した多くのインプレッションに基づき、業界ベンチマークを発表しました。
この業界ベンチマークを使えば、配信の期待値を設定し、キャンペーンの相対的なパフォーマンスを知るための効果的な指標を手に入れることができます。しかし、ターゲット到達率やインビュー率に標準値はありません。キャンペーンの目的、オーディエンスの規模、プレイスメント、縦型広告など、様々な要因に応じて値が変わるからです。
2017年第1四半期vCEキャンペーン・ベンチマークから得られた結果
- ほぼ全市場で、適切なオーディエンスへの到達率は50%未満であると報告された。ターゲット到達率は依然として課題である
- ビューアビリティ率は48%~55%と、市場によりばらつきがある。ビューアビリティは広告配信の重要な要素だが、それだけが広告によるインパクトの効果を測定する指標ではない
- プログラマティック購入では、特に動画広告において、直接購入と比べインビュー率が低く、無効なトラフィック(IVT)が増える傾向が見られる。そのため、入札前後のキャンペーン指標が重要になる
オーディエンスのベンチマーク
広告では、適切なオーディエンスに到達し、影響を与えることが何よりも大切です。適切なオーディエンスに到達したかを分析した結果、世界のほとんどの市場において、第一ターゲットへの到達率が50%未満であることが判明しました。2017年第1四半期のComscore vCEベンチマークによると、ターゲット到達率はフランスで39%、ブラジルで52%とばらつきがあります。
配信結果に差が出る原因は、多くの場合、オーディエンス自体の構成にあります。年齢、性別、他のデモグラフィック情報など、使う変数が増えれば増えるほど、想定した視聴者に到達しにくくなります。しかし、同じく重要なのは、想定オーディエンス以外の層に到達したインプレッションも、想定外の消費者に影響を与えることでキャンペーンに価値をもたらすことができる点です。そのため、当初のオーディエンスに到達しなかったインプレッション全てを、無駄なインプレッションとみなすことはできません。
ビューアビリティのベンチマーク
ビューアビリティは業界でよく話題になりますが、ビューアビリティだけでは、効果を与えるには不十分です。ビューアビリティは、キャンペーン配信のひとつの要素に過ぎないからです。2017年第1四半期ベンチマークを分析した結果、多くの市場で、広告の約半分は人の目に触れる機会がなく、インビュー率はオーストラリアで48%、米国とカナダで55%とばらつきがあることが分かりました。市場、キャンペーン、サイト、プレイスメント・タイプに応じてインビュー率が変動するため、ビューアビリティを積極的に高めることは重要です。
広告のパフォーマンスを高めるにはビューアビリティが重要ですが、ビューアビリティは広告効果を測定するKPIではなく、効果を生む機会を評価する基本的な指標である点に注意する必要があります。
プログラマティックのベンチマーク
プログラマティックでは、エコシステムの透明性が低いためキャンペーン配信の問題が誇張されがちです。そのため、プログラマティックにおけるキャンペーン管理では、インプレッション配信の検証が極めて重要な要素になっています。
コムスコアとカンター・ミルウォード・ブラウンは、先日発表した共同レポートで、プログラマティック購入がブランド指標とキャンペーン配信、なかでもビューアビリティと無効なトラフィックに与えるインパクトを世界的に詳しく検討しました。これには、広告主と代理店がプログラマティック広告キャンペーンの費用対効果を高める方法なども含まれます。
2017年第1四半期にコムスコアがグローバルなキャンペーンを調査した結果、プログラマティック購入を通じて得られたインプレッションは、直接購入と比べてビューアビリティ率が低いと分かりました。
IVT率でも同じ傾向が見られ、プログラマティック購入は直接購入より無効なトラフィックが生じやすくなっていました。動画在庫ではIVTがさらに増加しています。動画はインプレッション単価が高いため、高い報酬を求める広告詐欺のターゲットになりやすいのです。プログラマティック動画広告のIVT率は、直接購入の3倍以上にのぼります。
加えて、詐欺犯は次第に賢くなっています。高度な無効なトラフィック(SIVT)の検出能力に関しMedia Ratings Councilの認証を受けたコムスコアは、2014年第4四半期に検出し排除した全IVTの86%がSIVTであることを発見しました。SIVTは、一般的なIVTより検出がはるかに難しく、アドウェア、マルウェア、デバイスハイジャック、スタックドアドなどの問題を含みます。
どんな対策をとれるか
上述のように、オーディエンスへの安定的なキャンペーン配信、ビューアビリティ、無効なトラフィックは今も、業界にとって世界的に大きな課題です。認証を受けた信頼できるパートナーと連携して、キャンペーン配信を検証することが、広告配信を把握し、キャンペーンの目標を最適な形で達成する上で鍵となります。業界の力を結集すれば、デジタル広告取引への信頼性と透明性を高めることができ、それがエコシステムの全プレイヤーにメリットをもたらします。Comscore vCEとキャンペーン検証について、詳しくは当社にお問い合わせいただくか、こちらをご覧ください。